歴史というものを学ぶ時に重要な事…

西尾幹二氏の著書「天皇と原爆」を読み終えた。
天皇の戦争責任を問う内容かな?と思ったが、そうではなかった。
CSテレビで西尾氏がシリーズで担当した歴史の話を文字にしたモノだった。
日本とアメリカをいろんな角度から比較し、なぜ太平洋戦争に至ったか?
(著書の中では日米戦争と書いてある)
を詳しく書いてあるのだが、これ程までに詳しく調べている事に、まず驚く。
しかし、何よりも江戸時代に既にアメリカ人の性質に気づいていた人が居たというのには、もっと驚いた。
その学問は「水戸学」と呼ばれている。
この水戸学を学んだ人たちが危機感を持ち「攘夷」という考えが広まったのだし、危機感を強めた人たちが欧米列強に侵略されないよう必死になったのだとわかった。
(攘夷とは、外国を打ち払うという意味)
その「水戸学」てなんぞや?
となりますが、元々は、水戸黄門でお馴染みの徳川光圀公が「大日本史」を編纂させた事に始まります。
この事業は一旦中断しますが、江戸時代中頃から再開され、儒学を追及する学問となっていきます。
最終的に「尊皇攘夷」という思想にたどり着き、明治維新に繋がっていきます。
詳しくは私が説明するより「天皇と原爆」を読んでいただいた方が確実に理解出来るだろうと思います…悪しからず。


この本を読んでいて気づくのは、歴史家が書く歴史書よりも歴史がよく理解出来る点です。
これは作家の井澤元彦氏にも共通してる事ですが、視点がミクロかマクロか?
という違いがあるのだと思います。
ある事件だけを見るか、その背景にまで視点を広げるかで、見えてくるモノが全然違ってきます。
それが日本だけの問題として捉えるか、国際的な問題として捉えるか
そして、現在の常識で考えるのではなく、当時の常識をよく理解して考えないと本当の意味での理解は出来ないと教えてくれてます。

そして、もう一つは、歴史家は確証出来る証拠を求められるので断定出来ない事が多く、そのため、答えを出せない事が多い。
歴史家ではない人は証拠がなくても当時の常識や習慣などを総合的に考慮して判断するので、(ある意味)大胆な答えを導き出せるのだと思う。
歴史という学問に正解があるのかどうかわからないが、西尾氏の著書には惹き付けられるモノがあるのは確かだ。